させんバンカーの 独り言

ある日、突然左遷された元銀行員の日常

中小企業って

中小企業って難しい、とよく聞きます。

経営者から見れば、大企業のような規模のメリットがない、部門・プロジェクト等毎に専任の人材を張り付ける人的余力が乏しい、乏しい人的資源の中ではイエスマンばかりを雇っておくことができない=逆らえばすぐに辞めさせるといったことがすんなりとはいかない、ヒトモノカネがすべて十分に満たされることがあまりなく余裕がない等々。

従業員から見れば、大企業はヒトモノカネがそろい余裕があるが、中小企業はそれらに余裕がなく経営の安定性に不安がある、ひとりひとりの仕事の範囲が広く負担が大きい、大企業に比して給料が安い、大企業のように公器として組織自体が体裁をなしていれば個人商店的に一人のワンマン経営者が言うことがすべてとはならない為の抑止力が働く、大企業のような公平性がない、従業員は大企業をドロップアウトした人たちの受け皿でいろんな価値観を持ち、組織の従業員としてキッチリ教育を受けておらずレベル的にも均一性がない等々。

それぞれはある面ではすべて正しく、ある面ではすべてはずれ。いや、単にすべてに2面性があるだけで、言っている人たち自身も「でもそれが逆に力になっている」なんて思いながら言っていることもあるでしょう。

銀行員は仕事を通して、中小企業の経営者(オーナー)、役員・従業員から会社の話を聞き、事業内容や企業体力、信用力、会社となりを聞く機会が多いが、経営者(オーナー)から話を聞いて想定する会社像と、役員・従業員から話を聞いて想定する会社像とは、一致することもあり大きくずれる場合もある。が、通常、経営者(オーナー)の話は企業やその事業内容の概要・概論であり企業の全体像として、経営者がもつあるべき企業像・目標とする企業像への道程の解説である。もっと企業内の細部語るものでなく、構成する個別具体的な人員構成や人間関係、そのモラルレベル、職場環境、マナー等々までは、役員・従業員から話を聞いても、なんとなく経営者から聞くよりも現実感が増す程度で実態は判らない。むしろ、銀行員はそこまで理解する必要がなく、銀行は決算数字と経営者(オーナー)から聞いた話から理解できる事業内容の概要・概論が一致し信用力の判定ができれば、それ以上踏み込む必要がないのです。

実際、中小企業で働いてみると、銀行員時代に、外から見て感じ理解したと思っていた中小企業像が、なんて底の浅い上っ面だけの、意図的に造り出された中小企業の蜃気楼を見せられていただけだったのか、予定調和でお互いが創り出していただけだったというこを実感しました。

やっぱり銀行って大したことないね。古典的には銀行でいう目利き力って、究極は貸した金が返ってくる企業をいかに見分けて、いかに貸して稼ぐかってこと。低金利で金貸すだけでは銀行経営が成り立たなくなってきた近年では、融資だけでなく、色々な金融サービスで業務粗利をいかに稼ぐかが大切で、いわゆる目利き力の意味も変わってきてるのかもしれませんが、多分与信審査の根本はかわらないのかも。

実感として、中小企業は、経営者の立場からも労働者の労働する立場からも、いろんな意味で、やっぱり難しいことは間違いないでしょう。良し悪しかかわらず個人商店のように経営者の一言ですべて決まることが当然ある。でも企業によっては、少人数で効率よく粗利を稼いで儲けていて労働分配が高く大企業よりペイの高い企業もあるし、新しい分野の事業を立ち上げ先駆者利得を享受している企業もあるし、大企業よりある意味うまくやってる企業も有ります。外から見ただけだけど。ただ、どうしても大企業のような規模のメリット、安定性は難しい。企業に何を求めるのか考え方次第だけど、チャレンジングな人たちの牙城であることは確か。

中小企業バンザイ!自分が中小企業でどこまで長く生き延びていけるか。これからも研究と実践あるのみです。